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短編小説 『ある夏の日に』 特別編

2011-09-11

Tag :

皆様、いつも有難うございます!ティーケーlm@町田です。

今回、趣味で簡易短編小説を書いて【夏の特別企画】と題して
このブログにアップさせて頂きました。

興味の無い方は流して頂ければと思います。


【 あ る 夏 の 日 に 】

(※流して読めるように編集リンク!下記をクリックすると
各編が読めます。)


#1.出逢い

#2.到着

#3.胸の高鳴りと君と

#4.告白

#エピローグ.明日へ




前にブログで小説を書いている方がいて、
その小説は長編小説だったのですがそれを読んでいた私は

止まらなくなってしまって、

このようにどんどん読みたくなる小説を書きたいと
常々思っていました。

しかしそれはとても難しいことでした。

今回はたまたまどんどん書けたので勢いでアップして
しまいました。


これは実際にあった話なのですか?

フィクションですね。いえ、あえて言えば
半フィクションです。

半フィクション?

私は現在既婚者です。これ以上は突っ込まないように
お願いします。

あまり中身が無い小説のように思えますが…?

素人ですから勘弁して下さい。
しかし今回自己満足に過ぎませんが、書いていて楽しかった
です。

隙間時間に書いていたのですが、書き始めたら
止まらなくなってしまって。

反響はありましたか?

こっそりと読まれていた母親だけには
好評でした・・・。
親はそういうもの(子を褒める。)なのでしょう。

でもいいのです。たまたま何かのきっかけでこの小説を
読んで頂いた方がいて、最後まで読んでくれたらのなら
それはすごく嬉しいことです。それだけで十分です!


小説に出てくる村瀬奈々子のモデルとなった本人から
苦情はきませんか?

半フィクションと言っているでしょう。

次回作はありますか?

今のところは考えていませんが、ストックはたくさん
あるので気が向いたらアップする予定です。

あなたの方向性は何ですか?

・・・ゴホッ、ちょっと、、この辺で失礼します。

ちょっと待って下さい。


プチ茶番劇に付き合って頂き有難うございましたm(_ _)m

今後ともよろしくお願いいたします。


--------------------------------

覚めない夢 (「ある夏の日に主題歌」作詞作曲:ティーケーlm)

何か一つ飛び抜けた 才能なんてないけれど
君の瞳を曇らせぬように 心から大切に思う

まるで覚めない夢の中 泳いでいるようだった
二人は限りなく近い平行線のように交わることはないまま

(※ A ⇒ F#m ⇒ D ⇒ E 繰り返し。)

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『ある夏の日に #エピローグ.明日へ』

2011-09-10

Tag :

#エピローグ.明日へ   『#4.告白』はこちら



 これほどまで想いを伝えることが大変だとは・・・。


本当にもっと長い時間を奈々子ちゃんと過ごしたような
気がする。

そしてもっと前から知り合っていたような感じもする。

だけど実際、今日で3度しか会っていないに過ぎないのだ。

短いような長いような凝縮された思い出が一気によみがえる。


明日、未来へとこの楽しい時間を繋げたい。

いつもその笑顔に会いたい。

竜之介はすべての思いを込めて言い切った。


どうだろう・・・。

想いよ叶ってくれ。


今は胸の音しか聞こえない。

まるでこの高鳴りが奈々子ちゃんにも聞こえてしまって
いるかのように。




暑すぎる夏。


遠く離れた山奥のリゾート地。


君の横顔。


そして告白・・・。



まるで別世界のようだった。尾山竜之介の夏は終わった。




翌朝。荷物を片付けて竜之介は車へと向かった。


「大熊さん、皆さん、ほんとに有難うございました。」

みんなに混ざっている奈々子を一瞥し、竜之介はうまく笑えているか
わからなかったが、笑顔で、

「ほんとにありがとう。いい思い出ができた。またね。」

そう言い残してリゾート地を後にした。

気持ちアクセルを強めに踏んでしまったようで
急発進気味になってしまった。

バックミラーはあえて見なかった。


上ってきたクネクネした道を今度は下っていく。

悔いはない。ちゃんと想いは伝えることはできた。


竜之介は少し離れたところで車を停めた。

そして目を閉じた。






竜之介が想いを伝えてからしばらく、沈黙が二人の間を包んだ。


そして奈々子が口を開いた。


「・・・。ごめんね、私すごく慎重になってる。」


雲行きが一気に怪しくなったのを感じた。


「前に付き合っていた人のこととかがあって、今は付き合うとかそういうの
よくわからなくて。ごめんなさい。」

なんだこの曖昧な回答は、、、斬るならばいっそのこと真っ二つに
切り裂いてくれ。

「ごめんなさい。」ってことは所謂「ごめんなさい。」ってことか。


しばらくして奈々子が続けた。


「だけど、私のことを・・・」

「え?」


一瞬時が止まった。


そのつぶらな瞳はとても綺麗だったが、どこか寂しそうにも
見えた。

竜之介は唇を噛み締めながら思っていた。
自分は胸の奥で決めてきたんだ。

ちゃんと付き合いたいって。こういうのじゃないんだ。

帰った後この話をしたらみんなに笑われるだろうな、
または男じゃない、草食系!と馬鹿にされるか。
この状況、、、


「付き合って欲しいという告白にはNOなんだよね・・・?」

竜之介は奈々子にもう一度聞いた。

すると奈々子はゆっくりと首を縦に振った。




「もう、、、部屋に戻った方がいいよ。」


奈々子ちゃんに会ってから初めて少し怖い顔を
見せてしまったかもしれない。

竜之介はそういうのが精一杯だった。奈々子は静かにどこか寂しそうに、
しばらくうつむいた後、何も言わずに部屋を出て行った。




俺も不器用だな、自分の答えにYESという返事が欲しかった。
白か黒かのどちらか。グレーは自分に必要ない。

これでよかったんだ。自分で出した答えだから。

もう忘れよう。


その時、雨が降り出したような気がした。まずいな、こんな山奥で
雨が降り続いたら大変だ。

竜之介は思わずすぐにワイパーを作動させた。
しかし雨を一向にワイパーははじくことはなかった。


これは雨じゃない、涙だ。


ほんとに短かったがその間の色んなことを思い出していた。

しばらく竜之介は運転をする気になれずうつむいていた。

情けないなぁ・・・。


すると、コンッコンッと窓を叩く音がした。




(奈々子ちゃん!?追い掛けてきてくれた、、、)


竜之介は涙を拭って、窓の外を確認した。




そこには野生の猿がいた。





目が合うとすぐさまと逃げていった。

思わず自分の勘違いに笑ってしまった。


「何を変な期待をしているんだろう。これが現実だよな。」


奈々子ちゃんの話していたことが
本当か嘘かもわからない。

そんなことはどうでもいい。


今の自分はこれ以上でもこれ以下でもない。

真正面からぶつかっていった。

自分の思いに正直に素直に、ただ会いたいという気持ちだけを
頼りにここまできた。


もっともっと自分を磨こう。

もっともっといい男を目指そう。


竜之介はひたすら車を走らせ、道を下っていった。

ひと夏の思い出を胸に抱き締めて。





E N D 。

(最後までお読み頂き有難うございました!ティーケーlm)

『ある夏の日に #4.告白』

2011-09-09

Tag :

#4.告白    (前回)『#3.胸の高鳴りと君と』はこちら


 しばらくうつむいた奈々子を見て、竜之介は

(少し強引な誘い方だったか、焦りすぎたか、いや、今はこう言う他に
はないだろう。)

などと心の中で一人対話を繰り返していた。


すると、意外にもあっけらかんとした笑顔で奈々子は答えた。


「いいよ、お風呂上がったらまたここに来るね。でもスッピンだよ。」


また部屋に来てくれるなんて信じられない。


風呂の中で竜之介は、なんとしてでも想いを今日中に伝えたい。

そして完全に正統派を貫きたい。

つまるところ今夜一切奈々子ちゃんを裏切るような軽い男には
ならないと決めていた。

奈々子ちゃんはどう思っているのだろう。
いや、どう思っていようと僕の出した答えは正統派だ。

想いだけをしっかりと伝えられたらそれでいい。


ぶつぶつと風呂場で独り言をつぶやいた竜之介はドライヤーで頭を乾かして
から部屋へと戻った。

「ほんとに来るのかな。スッピンだよ、かぁ・・・。」

さっきの奈々子の言葉を思い出して少し表情が崩れたその直後に
胸の奥が急激に高鳴りだした。

竜之介は大きく深呼吸をした。




ガチャッ

ノブの音が静寂を破り、ドアが開いた。

「入るよぉ。」

タオルで頭を拭きながら奈々子が部屋へ入ってきた。

「お風呂広かったね、誰もいなかったから貸し切りみたいだった。」

「いい湯だったね。」

と冷静さを装いながらも、

浴衣姿の奈々子ちゃんはまた一味違う。
俺達まるで恋人みたいではないか。

などと一人テンションがあがっていく。

とりとめのない話がしばらく続いた。


そして時間は無常にも刻一刻と過ぎていく。


それにしても奈々子ちゃんは敷いた布団に座り
かけ布団を膝の上に掛けて、

「この布団ふかふかして気持ちいい。」

なんて言っている。


魔性だ。わからない。

僕は想いを伝えたい。


時計の針が12時を回った。

竜之介は焦っていた。会話こそつきないが、
頭の中では想いを伝えるタイミングを考えており会話の内容が正直上の空だ。

「なんだか、肩凝っちゃったなぁ。」

そう奈々子は言うと肩に自分の手をやって首を回した。

「大丈夫?揉んであげるよ。」

マッサージが得意な竜之介は好意からそう言ったが、
このシチュエーションでは言うべきではなかったか、、、
そんな思いに駆られた。

が、しかし、「えぇ 本当?ありがとうぉ」と奈々子は言うと
まるで子供のようにバタッと、そのままうつ伏せに倒れた。


マッサージには自信がある竜之介だけに奈々子にも評判はよかった。

「竜之介君うまいねぇ。」

僕は遥か遠くこのリゾート地まで何をしにきたのか。


「なんだか眠くなっちゃったよ・・・。寝ちゃいそう。」
奈々子は目を半分閉じてそう言った。


「ここで寝ちゃえば?」

完全な流れにのって竜之介が言う。


すると奈々子は振り返って、

「それはダメだよ。朝起きてこの部屋から私が出てきたら
みんなが、、、」

「そ、そうだよね。」すごい強引なことは言ってしまったと
竜之介は反省した。

だとしたらもう時間はない。


いい雰囲気ではないか。うまくいきそうではないか。
今こそ、伝えよう。ここへ君に会いに来た理由を。自分の気持ちを。


「ありがとう。楽になったよ。そろそろ部屋に戻らなきゃ・・・」

そう言って奈々子は体を起こした。

「待って。もう少しだけ話したいことがあるから、、、いいかな?」

そう言葉にした瞬間、竜之介の胸の奥は急ピッチで高鳴り始めた。



「うん。何?」

奈々子はつぶらな瞳で竜之介を見つめる。

思わず目をそらす。


虫の声だけが聞こえ続ける。


竜之介は視線を少しそらしたまま右斜め下を見つめる。

いけ、いくんだ。そう自分に言い聞かす。


「お、俺たち出会ってから今日で3度目だよね?
たった3回しか会っていないけどすごく一緒にいる時間が楽しかった。」

奈々子は竜之介を見つめている。

「私も楽しかったよ。」

「ほんとまだ3回しか会っていないんだけど、、、楽しくて、」


・・・このような同じようなことを何度も何度も竜之介は繰り返した。



なんてこった。この先の『好きだ。』の3文字どころか、『す』の
一文字が出てこない。額からは汗が流れる。

奈々子を一瞥する。困った顔はしていない。
だけど嬉しそうな顔もしていない。

僕は息苦しい。

なぜだ。ここまでくるまでの道のりのイメージではすんなりと想いを
伝えられたはずだ。

それに正直ここまでの自分と奈々子ちゃんの会話や雰囲気からして
自分の思いは伝わる、叶うはずだと思っている。

後は伝えるだけだ。なぜ、それができないのか。


それからまた数分が経過した。

これはさすがに不自然な間だ。さすがの奈々子ちゃんも「何?」という
表情になっていると予想されるが、まともに表情を見ることもできない。
いけ、いくんだ!

竜之介は覚悟を決めて、思い切って想いを解き放った。




『#エピローグ.明日へ』につづく。

『ある夏の日に #3.胸の高鳴りと君と』

2011-09-06

Tag :

#3.胸の高鳴りと君と   (前回)『#2.到着』はこちら




 目が覚めると部屋は暗くなっていた。
あれ?夢を見ていたのか、、、ここは自分の家か。いや、違う。
確かにリゾート地だ。

だいぶ楽になってきた。よかった、回復して。


部屋の外に出ると、大熊さんや奈々子が心配した表情で
「大丈夫?」と聞いてきた。

「だいぶ良くなりました。ありがとうございました。」

「そうか、無理しないようにな。これから外を散歩してその後
みんなでキャンプファイヤーをやるから一緒に行こう。」

「はい。」

時間はもう夕方だった。大自然の森の中をみんなで散策。

つり橋も渡った。

川が流れる場所にも行った。

みんなと少し離れた距離で奈々子ちゃんと二人きりで歩く。

来てよかった。


そして竜之介は奈々子の横顔を見て出発前の決意を思い出していた。

「もし無事にリゾートに辿り着いて奈々子ちゃんに会えたなら、
その時は自分の想いを伝えよう」と。


そう考えた途端に胸が高鳴りだした。いけない。


確かに奈々子ちゃんに会ってからは少しの間しか経っていない。

今日で3度目だ。3度会って好きも嫌いもないだろう。

そんなことくらいはわかっている。しかし今奈々子ちゃんを目の前にして
『好き』の二文字以外浮かばないことは確信した。

それに自分で勝手に思っているだけかもしれないがいわゆる
ビビビッという衝撃を胸の奥で感じている。

後悔だけはしたくない、ただそれだけだった。

しかし会って三度目で告白。
これは軽いと思われてしまうのではないか。

それだけが最大の懸念材料だ。

「どうしたの?何か考えているの?」

「え・・・!!? い、いや。自然の空間ってすごいなーなんてね。」

竜之介は心の中で少し話しすぎたと、反省した。

「ほんといい場所でしょう。」



その後のキャンプファイヤーもよかった。

しばし都会の喧騒から離れてこんな時間も悪くない。

それに奈々子ちゃんと同じ時間を過ごせるなんて、最高の夏だ。
恋愛の神は僕を見捨ててなんかいなかったのかもしれない。

そんなことを竜之介は思っていた。



キャンプファイヤーも終わりに差し掛かる頃、大熊さんが
少し酔いながら竜之介と奈々子の近くにきた。

「尾山君の泊まる部屋はさっき休んでいた部屋使っていいから。」

「ありがとうございます。」なんて親切な人たちなんだ。

「奈々子は201な。」

「はい。」


なんだ、奈々子ちゃんとは違う部屋か。

って当たり前か。

当たり前ではないか。竜之介、ねぇ、そうだろう。

そう自分に言い聞かせていると、


「後でお部屋遊びに行くね。お話しようね!」

奈々子はそう竜之介に伝えると少し先に歩いていった。

竜之介は思わずドキッとした。その一瞬の奈々子の表情から何も
読み取ることはできなかったが、それでも同じ部屋で話ができるなんて。

竜之介は心の中で思わずガッツポーズをした。



部屋に戻ると竜之介はくつろいでいた。

しかし胸の奥では、「今夜想いを伝えなくては」という
プレッシャーを抱えていた。


奈々子ちゃんは俺のことをどう思っているのだろう。

どんなつもりでここへ呼んだのだろう。

別に他の誰でもよかったのだろうか。


今日は一緒に森の中を歩いた。二人きりでたくさん話をした。

写真も一緒に撮った。嫌ならばこんなことはしないだろう。

そんなことをしばらく頭の中でグルグルと考えていると
ドアがノックされた。

「失礼しまーす。」

奈々子ちゃんの声だ。もう時計は夜の10時をまわっていた。


「飲み物買ってきたよ。はい、どうぞ。」

そう言って奈々子は竜之介の向かいに座った。

「っていうかほんとにここに泊まってもいいのかな。
みんな親切で有難いよ。」

「そうだね。でもほんとに来てくれるとは思わなかった。
ありがとう。」


お互いの共通の知人でもある内山の話、
ここでの仕事の話など、時間が経つのも忘れて話し合った二人。

その一方で竜之介はいつ想いを伝えようか、そのタイミングを
探していた。これは思っていたよりなかなか難しいと感じていた。


「あ、そろそろお風呂に入る時間だね。」
そう言って奈々子は立ち上がろうとした。

まずい、、、このまま寝てしまえば今日想いを伝えることが
できない。変に焦ってもいけない。だけど、、、


「お風呂上がったら、すぐに寝る?もしすぐに寝なければこの部屋で
もう少しだけ話の続きをしない?」

気が付いたときには竜之介は勢いよく、そう伝えていた。



『#4.告白』へつづく。

『ある夏の日に #2.到着』

2011-09-05

Tag :

#2.到着    (前回)『#1.出逢い』はこちら



 道のりは思っていたよりも遠い。進んでも進んでもまだ先だ。
奈々子ちゃんのリゾートバイトの場所は聞いた。

この車にはナビがないから、地図で何度も予習をしてきた。
何かあったら、、、後はガットフィーリングだ。
竜之介は自分のこめかみを軽く指で叩いた。


免許取り立てで一人の運転、知らない場所となるとここまで心細いのか。

道が混まないために夜中の出発だった。
夜中だっただけに余計に心細い。

思わずパーキングに停めて奈々子ちゃんのことを
相談していた友人に電話を掛ける。

「お前も無茶するなぁ。とにかく気をつけて行ってこいよ。
また話を聞かせてくれ。」

「オッケー。」

とても心細い中、竜之介は友の声がとても温かく感じた。



じつはあの発表会&花火の後、奈々子とメールのやり取りをしていた
竜之介は一度だけ奈々子と会っていた。

場所は奈々子の地元でどこへ行くというわけではなく
コンビニで食べ物を買って車の中で話をしていた。

ただ普通に話をしているだけだったが、竜之介にとっては別空間だった。
忙しない日常、せめて少しだけでも時間をとめて、、、

こんな時がいつまでも続けば、と信じられないような気持ちだった。


そして竜之介の中で『二度目の壁の法則』もクリアした。

『二度目の壁の法則』とは、初対面でいいなと思っても二度目に会った時に

「やはりどこかが違う。」

と熱が冷めてしまうことが多いことから竜之介が自分の中で作り上げた
法則である。奈々子はその法則を見事に突破した。

つまり二度目もどこか違うということはなかった。
それどころか竜之介は奈々子の魅力により引き込まれていった。

そして奈々子のリゾートバイト先へ行くことは確定した。



出発してからもうどれくらいの時間が経過しただろうか。
だんだんと夜が明けて明るくなってきた。

窓を下げると夏なのに外からは肌寒い空気が流れてくる。
やはり山奥は冷えるようだ。

するとボンネットに「ドンッ!!」と何か音がした。

竜之介は思わず目を疑ったが、野生の猿だった。
猿はすぐに走り去っていった。

「すごいな。野生の猿に出くわしてしまった。こんなこともあるのか。
写真を撮る暇もなかったな・・・。」

くねりくねった道をとにかく進んだ。

途中からガソリンのことが妙に心配になった。
もしかして戻れなくなるんじゃないか。ガソリンスタンドなんてあるのかな。
そもそもこの先に宿舎なんてあるのか。

イメージとしてはくねくねと森の中をただひたすら上っていく。
そんな感じだ。だんだんと肌寒くなったので持参してきたパーカーを羽織った。


しばらくして宿舎がようやくみえた。ここなのだろうか。
車を停めて森の中の宿舎へと足を運ぶ。周りを見渡せば緑いっぱいで虫も多い。

人間の世界では虫は邪険にされるかもしれないが、ここではむしろ虫たちへ
「お邪魔します。」と頭を下げたくなるような雰囲気さえ漂っている。

その建物の中に足を踏み入れてあたりを見回していると、
「おい、何をやっているんだ。」と、中年の男が声を掛けてきた。

「人の建物に無断で入ってくるな。」

突然現れたので竜之介は驚き、
「すみません。お邪魔致します。いえ、致しています。」

と、よくわからない日本語で伝えると低姿勢の竜之介にその男は警戒心が
薄らいだようだった。

「どこから来たの?宿泊のお客さんかい?」

「いえ、ここに人を訪ねてきたのです。村瀬奈々子さんという方いますか?」

「なんだ、奈々子ちゃんの知り合いか?いるよ。」

建物の奥に連れていかれるとそこにはいつものお洒落な洋服とは違い、
動きやすそうなラフな格好の村瀬奈々子がいた。

周りの人たちも数名いたが奈々子の知り合いということがわかると
歓迎してくれた。

中年のその男はその宿舎のオーナーのようだった。大熊さんという。


奈々子は竜之介に気が付くと近づいてきて、
「ほんとに来てくれたんだ。遠かったでしょう!」と声を掛けた。

(やっと会えた。)そう心の中で思った。

「あぁ、なんてことはないよ。」
そう竜之介が告げた途端、今までの緊張の糸がほどけたかのように
胃が急激に痛んだ。

虚弱体質な竜之介ならではのお決まりの症状になってしまった。

「くそ、、、よりによってこんな時に。」その場に竜之介がうずくまると、
周りの人たちは心配してくれて布団を敷いてくれた。そして胃薬をもらって飲んだ。


「ごめんね、奈々子ちゃん。」

「大丈夫?? 無理しないでね・・・。少しゆっくり休んで。」

(俺は何をしにきたんだ、、、遠くから訪ねてきて歓迎してもらったと
思ったら胃の痛みで布団の中にいる。自分らしいといえばそれまでだが、
情けなさすぎる。)


そんなことを考えながら竜之介はいつの間にか眠りに落ちていた。




『#3.胸の高鳴りと君と』へつづく。

著作権等について

当ウェブサイトにおいて掲載されている内容の無許可転載・転用を禁止します。これらの内容は日本の著作権法及び国際条約によって保護を受けています。

プロフィール

ティーケーlm

Author:ティーケーlm
 何かを始めるのに「遅すぎる!」なんて事はありません。
そして花咲く春を迎えるには冬の時期にしっかりと種蒔きを行わなくてはなりません。果たして芽は出るのか、朽ち果てるのか?独自の視点で時に楽しく時に真面目に描く日記です。



 

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