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『ある夏の日に #エピローグ.明日へ』

2011-09-10

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#エピローグ.明日へ   『#4.告白』はこちら



 これほどまで想いを伝えることが大変だとは・・・。


本当にもっと長い時間を奈々子ちゃんと過ごしたような
気がする。

そしてもっと前から知り合っていたような感じもする。

だけど実際、今日で3度しか会っていないに過ぎないのだ。

短いような長いような凝縮された思い出が一気によみがえる。


明日、未来へとこの楽しい時間を繋げたい。

いつもその笑顔に会いたい。

竜之介はすべての思いを込めて言い切った。


どうだろう・・・。

想いよ叶ってくれ。


今は胸の音しか聞こえない。

まるでこの高鳴りが奈々子ちゃんにも聞こえてしまって
いるかのように。




暑すぎる夏。


遠く離れた山奥のリゾート地。


君の横顔。


そして告白・・・。



まるで別世界のようだった。尾山竜之介の夏は終わった。




翌朝。荷物を片付けて竜之介は車へと向かった。


「大熊さん、皆さん、ほんとに有難うございました。」

みんなに混ざっている奈々子を一瞥し、竜之介はうまく笑えているか
わからなかったが、笑顔で、

「ほんとにありがとう。いい思い出ができた。またね。」

そう言い残してリゾート地を後にした。

気持ちアクセルを強めに踏んでしまったようで
急発進気味になってしまった。

バックミラーはあえて見なかった。


上ってきたクネクネした道を今度は下っていく。

悔いはない。ちゃんと想いは伝えることはできた。


竜之介は少し離れたところで車を停めた。

そして目を閉じた。






竜之介が想いを伝えてからしばらく、沈黙が二人の間を包んだ。


そして奈々子が口を開いた。


「・・・。ごめんね、私すごく慎重になってる。」


雲行きが一気に怪しくなったのを感じた。


「前に付き合っていた人のこととかがあって、今は付き合うとかそういうの
よくわからなくて。ごめんなさい。」

なんだこの曖昧な回答は、、、斬るならばいっそのこと真っ二つに
切り裂いてくれ。

「ごめんなさい。」ってことは所謂「ごめんなさい。」ってことか。


しばらくして奈々子が続けた。


「だけど、私のことを・・・」

「え?」


一瞬時が止まった。


そのつぶらな瞳はとても綺麗だったが、どこか寂しそうにも
見えた。

竜之介は唇を噛み締めながら思っていた。
自分は胸の奥で決めてきたんだ。

ちゃんと付き合いたいって。こういうのじゃないんだ。

帰った後この話をしたらみんなに笑われるだろうな、
または男じゃない、草食系!と馬鹿にされるか。
この状況、、、


「付き合って欲しいという告白にはNOなんだよね・・・?」

竜之介は奈々子にもう一度聞いた。

すると奈々子はゆっくりと首を縦に振った。




「もう、、、部屋に戻った方がいいよ。」


奈々子ちゃんに会ってから初めて少し怖い顔を
見せてしまったかもしれない。

竜之介はそういうのが精一杯だった。奈々子は静かにどこか寂しそうに、
しばらくうつむいた後、何も言わずに部屋を出て行った。




俺も不器用だな、自分の答えにYESという返事が欲しかった。
白か黒かのどちらか。グレーは自分に必要ない。

これでよかったんだ。自分で出した答えだから。

もう忘れよう。


その時、雨が降り出したような気がした。まずいな、こんな山奥で
雨が降り続いたら大変だ。

竜之介は思わずすぐにワイパーを作動させた。
しかし雨を一向にワイパーははじくことはなかった。


これは雨じゃない、涙だ。


ほんとに短かったがその間の色んなことを思い出していた。

しばらく竜之介は運転をする気になれずうつむいていた。

情けないなぁ・・・。


すると、コンッコンッと窓を叩く音がした。




(奈々子ちゃん!?追い掛けてきてくれた、、、)


竜之介は涙を拭って、窓の外を確認した。




そこには野生の猿がいた。





目が合うとすぐさまと逃げていった。

思わず自分の勘違いに笑ってしまった。


「何を変な期待をしているんだろう。これが現実だよな。」


奈々子ちゃんの話していたことが
本当か嘘かもわからない。

そんなことはどうでもいい。


今の自分はこれ以上でもこれ以下でもない。

真正面からぶつかっていった。

自分の思いに正直に素直に、ただ会いたいという気持ちだけを
頼りにここまできた。


もっともっと自分を磨こう。

もっともっといい男を目指そう。


竜之介はひたすら車を走らせ、道を下っていった。

ひと夏の思い出を胸に抱き締めて。





E N D 。

(最後までお読み頂き有難うございました!ティーケーlm)
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